【記事】「パソコン」で生まれる人とのつながり! パソコンなんでも相談室
2023/10/19(木) 情報コンシェルジュ
「パソコン」で生まれる人とのつながり! パソコンなんでも相談室
写真:パソコンなんでも相談室に集まる人たち(前列中央:新井氏)
あしたタウン*の活動場所である「並木ラボ⁑」は、毎週火曜日になるとパソコンに向かうシニア世代を中心とした十数名の方々で賑わっている。今回はその賑わいの場「パソコンなんでも相談室」を紹介したく室長である新井祥一氏を取材した。
写真:ウエルカムボード
<経緯は>
趣味を生かした社会貢献がしたかった
定年退職で自由な時間ができたので、趣味を生かした社会貢献ができないかと考えていた時「並木ラボ」という横浜市大が運営している地域連携事業の場があることを知り、出入りするようになったところ、横浜市大の三輪教授よりパソコンに関する知識を買われ「手伝ってもらいたい」と声を掛けられ、「想い」が形となって動き出した。
仲間が出来、活動時間が広がった
最初は一人だったので、月2回午後だけの活動だったが、相談件数も徐々に増えてきて、忙しくなり、活動の中で交流が生まれた男性5~6名で「パソコンつながり隊」を組織した。それによって相談を受ける時間を週1回午前10時から午後3時まで拡大することが出来るようになった。
リピーターのグループが発生
横浜市大の地域連携事業には期限があったので、「並木ラボ」での活動が終了となる危惧もあったが、横浜市住宅供給公社の協力を得て一般社団法人として自立運営し活動が継続できることになった。活動開始から7年となった今はリピーター同士のつながりも生まれた。そこで相談受付の他にリピーターの方たち向けのスキルアップ活動の企画として、地域の様々な「お役立ち情報」の作成やZoom会議なども行っている。ただし、固定性の会員制ではなく、どなたでも受け入れている。
<新井さんの想い>
シニア世代の不安に寄り添う
インターネットは様々なトラブルと隣り合わせではあるが、ネットスーパーなどのサービスはシニア世代にも使いこなしてもらいたいと思う。パソコンに対するアレルギーを払拭して便利な道具として活用する手助けとして、「どんなパソコンを買ったらいいのか」「ネットで買い物したいがどうしたらいいのか」などのシニア世代の不安に寄り添って対応していくので、気軽に相談に来て欲しい。
個人情報が詰まっているパソコンに関する相談を受けるということで、秘密厳守をモットーにしている。初めてパソコンを触るという80歳代の方のパソコンの購入から操作までを手助けして喜ばれたことは高齢者でもパソコンを扱えることの実証として印象に残った。今は、新たにブログを立ち上げた人の支援を行っている。
それ以外にも、日々革新されている技術にも、ついていくことが大切だと考えているので、コロナ禍で話題に上がったZoomにも慣れるために、毎回終了前の15分間はリピーターのグループとZoom会議を行っている。
<集まっている人たちの想い>
「Zoomが楽しい」、きっかけは「年賀状作成」
集まっている方に何が一番楽しいですか?と聞くと、「Zoomが楽しい」「エクセルを覚えた」「ブログを発信している」など、弾んだ声を聴くことが出来ました。きっかけを伺うと「年賀状を自分で作りたくて」との発言に、「私も」「私も」とのこと。
「みんなとはここで初めて知り合いになったが、パソコン半分おしゃべり半分と楽しく過ごしている」「パソコンが動かなくなったりしても、室長が対応してくれるので安心」とのこと。
シニアに混じって若い方も
30代半ば、在宅での仕事をしているという男性はコロナ前の2019年11月、買い物に来たら楽しそうに活動している方たちがいたので声をかけたことで顔を出すようになった。「世代は違うが皆さん優しいので、気分転換にもなるしパソコンのことを教えることで喜んでもらえるのは楽しい」
そんな彼について、シニアの方々も「とても頼りにしている」とのことだった。
また、「私はいいです」と取材に控えめの若い女性について、室長に尋ねると「頻繁に訪れ、スマホの困りごとに対応してくれている。お陰でパソコンだけでなくスマホの相談にも乗れている」と若い人達ともつながれたことを喜ばれていた。
相談者の案内役の新井礼子さん
室長の奥さん、礼子さんは受付担当。初めての相談者やリピーターの皆さんをさりげなく案内してくれる。「ChatGPTにチャレンジしよう!」というチラシも作成。「お医者さんにもチャットで診断してもらう時代になる」「時代について行こうの心意気よ」と明るく語る。
<取材して感じたこと>
老いを寄せ付けない時代の波に乗る心意気
販売会社や業者も様々な質問に対応してくれているが、質問する立場からすると専門用語が飛び交うパソコン関係では質問すること自体のハードルが高い。「パソコンなんでも相談室」は「パソコンの駆け込み寺」を標榜していて、シニア世代にも寄り添った対応をしてくれている。そのような場が並木にあることが心強く、ありがたい。
また、「パソコン」というキーワードは男性が地域交流するツールとなることにも気が付いた。各自治会のシニアサロンの企画に「パソコン相談」を組み込むことで、男性の力を地域で発揮してもらえるのではないかとも感じた。
「パソコンなんでも相談室」には、室長新井さんの知識と人柄に、礼子さんはじめ集まっている方々の朗らかさが加わり、地域のシニアの潜在能力を目覚めさせてくれる力であふれている。この記事が「パソコンなんでも相談室」に立ち寄るきっかけとなり、時代の波に乗る心意気を共感する方が増えると嬉しい。
写真:前列左から二人目の方が礼子さん
*あしたタウン: 一般社団法人 金沢シーサイド あしたタウンは「子育ち」「福祉」「住まい」「公共スペース」「地域プランディング」の各プロジェクトを推進している。
⁑並木ラボ: 横浜市金沢区並木1-17 7号棟1階(HACとなり)
ライター 山本淳子