【記事】「言葉の力」を引き出す教育活動 ~並木中央小学校・齋藤校長にインタビュー!!~

2023/03/20(月) 情報コンシェルジュ

 

 

2022年、並木中央小学校(以下、中央小)の新しい顔として校長に着任された齋藤由美子先生。とても明るく親しみやすいお人柄で、取材中は会話が弾み、時間を忘れてしまうほどでした。

今回は中央小の教育活動についてのお話と地域と学校との関わりについてのお話を伺いました!

 

写真:中央小学校教育目標

 

中央小が大切にしていること。「言葉の力」がキーワード!

 

中央小では「言葉の力」をキーワードとした教育を、歴代校長を始めとし、着任された多くの先生方が、ずっと大事にしてこられました。子どもたちの心の内側から湧き起こる確かな自信を培う。豊かなコミュニケーション力を育てる。中央小が掲げている学校教育目標です。この学校教育目標について、齋藤校長にご説明いただきました。

「本校の学校教育目標は二本柱になっています。まず一つ目。内側から湧き起こる確かな自信とは、自分の伝えたい想いを自分の言葉や文章でしっかり表現することを積み重ね、個々の自信を創るということです。そのために、表現する必要性や表現する内容・表現の場も、児童と教師がしっかり吟味し、意識していきます。二つ目は、様々な表現を通して、コミュニケーション力の高まりをねらうということです。本校は、たてわり活動も重視しており、異学年においても深く関わります。どこでも言葉のやりとりを通して、様々な活動が展開されます。」

この目標を達成すべく、柱となるのが「言葉の力」というキーワードです。

「思っていることは、きちんと自分の言葉で話さないと(発信しないと)いけませんし、相手から発信されたことも、きちんと言葉で受け止めないといけません。私は、言葉の力というものをしっかりと認識しながら、子どもたちを育てていきたいと思うのです。それには、子どもたちの中に言葉の力を付け、その力を引き出すということが大事だと思っています。」

中央小が実践的に行っている取り組みとして、子どもたちがまず自分の言葉で考えてものを言うことに加えて、原稿を見ずに自分から出てきた言葉で伝えることも徹底されています。

また齋藤校長はこう続けます。

「横浜市でもロシアやウクライナの方の受け入れをしています。なかなか終わらない戦争を見ていると、学校でできることは、何だろうと考えることがあります。なかなか分かり合えない者同士が、お互いに折り合いをつけ、互いを認め合えるにはどうしたらよいかということを、子どもたちに問うことだと思うのです。まさに、コミュニケーション力と言葉の力が必要とされています。やはり究極の解決策は‟対話“なんだと思います。異なる言語であっても、相手を大事にして、相手を解ろうとしたり、相手の文化のことを色々知って受け入れようとしたりするような、コミュニケーションの土台があって、初めてその上に言葉での対話が可能になると思います。発信する側と受け手側の関係性が大事です。」

並木第二小学校と並木第三小学校の合併後、創立17年目を迎えた並木中央小学校。言葉の力を育むことと他者理解を図るコミュニケーション力を育てることの両輪で進める取り組みを、創立当初から学校として作っていこうと邁進されてきたことが分かりました。

 

並木のまちと学校と~つながりの可能性~

 

毎朝、学校周辺の見回りと挨拶を欠かさない齋藤校長。登校する子どもたちにはもちろん、通勤中の地域住民にも「おはようございます!行ってらっしゃい!」とはつらつとした声と笑顔で元気を与えてくださいます。

 

 

写真:『齋藤校長流コミュニケーション』 元気な挨拶が聞こえてくる朝の見守りタイム

 

齋藤校長は並木というまちに対して「環境の良さがピカイチで、子育てしやすく生活しやすいまち」という印象をお持ちだと言います。ご自身のお子さま方にも、並木を将来の住まいにおすすめしているそうです!生き物好きな齋藤校長の一番のご興味は、ふなだまり公園。海とふなだまりをつなぐ、学校から見える川を、連なって泳ぐカルガモ親子の様子や、カモ以外の鳥やクロダイについても楽しそうに語られました。

地域住民と関わる機会が増えた今は、「人」の温かさや、みんなで一生懸命まちを活性化したり、学校を支えようとしたりする住民の熱い思いを、ひしひしと感じていらっしゃるそうです。

並木の中にはたくさんの発信の場があると感じている齋藤校長は、子どもたちが地域の方々と一緒に、将来の並木を創っていくような発信ができたらいいなと思い描いています。その一つが、子どもたちが「子ども記者」になり、並木のまち再発見として、まちの良さを調べて自信をもって発信するという形です。さらに具体的に「海に関連した数々の公園の名前の由来など、調べたことをシーサイドラインの駅のホームに掲示したり、次の並木中央駅にはこんな良さがあります、なんて車内アナウンスしたりするのって面白いと思うの!」という新鮮なアイデアに、住民としても保護者としても、とてもワクワクしました。並木中央駅では並木中央小の子どもたちが、並木北駅では並木第一小の子どもたちが担当するなど、具体的なアイデアが飛び出し、話が盛り上がりました。

 

 

写真:地域の方々ともっと仲良くなりたいと語る齋藤校長

 

地域とのつながりに関して、他にもまだまだ素敵な構想をお持ちと思われる齋藤校長のもとで、様々なつながりが生まれ、子どもたちの間にもユニークな取り組みが生まれてきそうです。

 

今回のインタビューで、「言葉の力」を軸にして取り組まれる中央小の教育活動に、世界をより良い方向へと導く未来の大人たちへの期待と今後さらに学校と地域とのつながりが広がる可能性を感じました。

 

 

ライター 村上未歩

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