【記事】金沢シーサイドタウンにコミュニティFMラジオ局誕生! ~ 代表 松原 勇稀氏へ 開局への想いを聞く~
2023/09/08(金) 情報コンシェルジュ
※金沢シーサイドFMロゴマーク
2022年10月に我が街シーサイドタウンにコミュニティFMラジオが開局しました。地域に密着し街を元気にする、また防災・災害時には役立つ情報を地域へ提供する等、地域住民も金沢シーサイドFMラジオの開局に期待を募らせています。そこで、この春に大学を卒業されたばかりの松原代表にお会いして開局への想いを伺ってきました。
写真:FM局代表の松原さん
▷はじまり
2022年のコミュニティFMラジオ立ちあげについては、地域住民からも期待を寄せられていました。災害時には、FM局が地域に必要な情報発信のステージにもなる、これは地域に必要な情報を必要な時に伝達するメディアの存在が重要であるからです。ではなぜ、このシーサイドタウンにFM局ができたのか?そして、松原さんが代表として手を挙げ、今まさにチームを引っ張っておられる原点はどこにあるのか?その道を辿っていくと、そこにはあたたかく子どもたちを育み見守ってくれた地元に住む人々の存在がありました。
▷日本初、学生起業のラジオ局が誕生した道のり
松原さんが在学していた関東学院大学には、メディア研究をしているゼミナールがあります。そのゼミではFM局を研究しており、防災・減災はもとより地域活性化の部分でも役に立つということがわかってきました。その研究を続けていく中、2019年に金沢区においても甚大な被害をもたらした台風15号の影響が問題となりました。当時の金沢区には防災・減災の情報を発信できるようなメディアはまだありませんでした。その時、地域の方から「そういう時にこそ、コミュニティFMがあるといいのに」という声を聞きました。それを受けた大学の先輩方が、「今まで研究してきたものを形にしよう」と開局をめざして活動をはじめました。
松原さん自身も関東学院大学の学生でした。開局に向けての話を知り「では、僕に代表をやらせてください」ともう一人の共同代表となった小澤氏とFM局の会社を立ち上げました。2021年6月のことでした。
松原さんのご実家は金沢区六浦で3代続く飲食店です。小さい頃より地域の商店街のおじさんや、八百屋のオーナーさんに育てられたという思いがあったそうです。そのご実家のまわりも、近年は高齢化の影響でお店をたたんでしまう方が続いていたそうです。松原さんはそれを目の当たりにして、何か悲しい思いを感じていました。生活をしている周りがどんどんと衰退していく中で、「あなたはこの場所で子育てをしたいか?」ともしも問われたら自分はどうするのだろうかと考えました。でもその時、いままで抱いていた地域への感謝とあたたかい思いから、「やはり地元の街を良い街にしたい!」と強く感じたそうです。それが今日のFM開局への道へとつながりました。
会社設立から最初の1年半は自ら資金調達に奔走しました。そして、2022年10月やっと開局となり今期で3期目を迎えることができたのでした。
▷コミュニティFMラジオとは
ラジオ局は大きく分けて4つあります。1つがマスメディアです。TBSラジオとかニッポン放送です。それが全国媒体のマスメディアといわれるラジオ局です。2つめは県域放送といって、例えば神奈川県ではFMヨコハマ、FM東京などを聴くことができます。3つめがインターネットラジオです。今流行っているRadiko(ラジコ)とか、SpotifyRadio(スポティファイラジオ)などのインターネットで聞けるラジオです。4つめがコミュニティFM。1つの地域に限られていて、定義づけは一つの市町村に一つしか開局できないラジオ局とされています。情報を発信して地域を活性化させる、総務省から割り当てられている免許事業です。近隣では青葉区、戸塚区、中区に続き金沢区も仲間入りができました。
コミュニティFM局が並木ビアレヨコハマ本館の2階に開設した理由の一つは、防災の拠点としてビアレヨコハマが避難所になっているからです。そして、並木地域を盛り上げることが、金沢区を活性化する上で必須条件であるとの考えからでした。立地場所は、ちょうど並木2丁目から3丁目に繋がる2階の通路に面しており、ガラス張りのスタジオとミキサー室を設けています。このスタジオのデザインは関東学院大学の建築学部の学生がデザインしました。外から中の様子が見えるようにするという解放された設計になっています。
写真:スタジオ
写真:ミキサー室
▷金沢シーサイドFMラジオを聴いてみよう!
金沢シーサイドFMの周波数は85.5MHzで、毎日午前9時~午後10時まで生放送しています。金沢区の最新情報や地元商店街のリポート、イベント情報など地域に密着した情報を聴くことができます。災害時には緊急情報などを伝えます。放送はスマホのアプリでも簡単に聴くことができます。
また、四半期ごとに広報誌「Club SEASIDE FM MAGAGINE 85.5」も発行しています。各スポンサーさんのお店やスタジオに配架されていますので、手にとってもらえるとFMラジオのことや、番組内容などがわかります。
もちろんリスナー側からの情報も提供できます。曲のリクエストやお店の最新情報のみならず、例えば「地域で認知症のお年寄りがいなくなったので探しています」「うちの猫ちゃんがいなくなったので見かけた方ご連絡ください!」等々、Lineもしくはホームページ欄からお便りを送ることができます。FMラジオのアドレスやQRコードを記事の最後に掲載していますので参考にしてください。
写真:広報誌
▷今後の展望
2022年10月、金沢区役所と金沢シーサイドFMが災害時放送協定を締結した内容について松原さんに伺いました。「災害時に区からの情報提供により緊急情報をFMラジオより発信します。また、防災訓練の実施や防災の啓蒙活動等を区と協力実施します。具体的には、災害時に川の水位が上がっていますとか、川の水が逆流しています等の地域限定の必要な情報を速やかに提供します」と説明を受けました。区との災害時放送協定により災害時の発信ステーションとしての役割を持ち、日ごろの防犯・防災に必要な情報をタイムリーに放送することで、FMラジオが地域の安心・安全に一層貢献できることになるわけです。
今後の取り組みとして「緊急告知ラジオ」の導入についても伺いました。「緊急告知ラジオとは、災害等緊急時にラジオのスイッチを切っている状態でも、緊急時にコミュニティFM放送局から信号を発信し、専用のラジオが信号を受信し自動でラジオから放送が流れるというシステムです。この専用のラジオは今回シーサイドFMでつくりました」。続けて松原代表は、「これから常に流していただける自治体があれば、人がたくさん集まるところ例えば学校、スポーツセンター、コミュニティハウス等検討をして、お声がけして普及へ努めていきたいと考えています」と抱負を語られました。
災害時に地域の防災情報、被災情報、被災後情報を多くの人が共有することができるこの導入はコミュニティFMラジオの使命ともいえます。
画像:緊急告知ラジオ(Club SEASIDE FM MAGAZINE 85.5 vol.1より引用)
コミュニティFMが担っている防災・災害時の発信ステーションという役目は大きく、地域も大いに期待を寄せるところです。ただ日常のFMラジオから聴こえてくる内容は、パーソナリティーの語る一言に仕事をしながらでもクスッと笑えたり、たくさんの元気をもらえたり、時には流れてくるリクエスト曲に心癒されたりと、その地域に住む私達の生活のリズムに寄り添うものです。どうか是非一度、「金沢シーサイドFMラジオ」をお聴きになってみてください。
代表の松原さんが抱いた地元地域へのあたたかい思いやFMラジオ開局にむけてひたむきに努力をした熱い思いを伺い終え、これまで開局に携わってこられた多くの方々に心より敬意を表したいと思います。
写真:金沢シーサイドFMラジオ宣伝カー
2023 ライター 篠原淳子
Information
金沢シーサイドFM
電話番号
メールアドレス
住所
〒236-0005神奈川県横浜市金沢区並木2丁目13-7 ビアレ横浜本館
QRコード