【記事】いただきます!ごちそうさま! あたたかく、笑顔の溢れる地域食堂「みんなでごはん」へようこそ

2023/07/12(水) 情報コンシェルジュ

写真:スタッフのみなさん 左から湯山さん、田島さん、三上さん、松澤さん、細川さん

 

5年前に地域で出会った5人の仲間が、月に2回、地域食堂「みんなでごはん」の活動をしています。

この3年間コロナ禍の大変な時期も5人で知恵を出し合い、周りの方々の協力を得ながら、決して活動を止めることはありませんでした。地域とのつながりを何よりも一番に考え、いつも笑顔で活動を続けてきた「みんなでごはん」の活動を取材してきました。

 

 

Part1. 地域食堂「みんなでごはん」活動の原点

写真:月に二回の予約制。手書きの可愛らしい看板がお出迎え

 

地域食堂は、2012年に東京都大田区の八百屋さんが地域の方々に食事を提供したことがきっかけとなり、その後「全国子ども食堂ネットワーク」ができるまでに発展しました。

SDGsの食品ロス削減、誰ひとり取りこぼさないという視点からも、地域食堂は今まさに求められている大事な活動の一つと言えるでしょう。

 

金沢区には、2021年に立ち上がった「金沢区子ども食堂・地域食堂連絡会」(金沢区社会福祉協議会管轄)というネットワークがあります。2023年5月現在、14の地域食堂が集まり年に2回程皆で顔をあわせ情報交換等を行っています。今回取材をした地域食堂「みんなでごはん」も、この地域食堂連絡会に参加しています。

コロナにより現在の活動は、第二土曜日にセンターシーサイド商店街にあるカフェ波輝で食事の提供、第三土曜日は並木地域ケアプラザの調理室にてお弁当を作り、ジュピのえんがわでお弁当の提供と会食を行っています。4月は、「みんなでごはん・活動100回目記念」でした。カフェ波輝では当日3組の家族が、その日のメニュー「天津飯風丼」を楽しみに訪れていました。

 

2023年8月より活動内容がジュピのえんがわの月1回予約無しに変更。(巻末参考)

写真:4月のメニュー天津飯風丼

写真:食事の前にスタッフ湯山さんの紙芝居

 

2018年1月にスタートした「みんなでごはん」は、“ジュピのえんがわ”の代表高橋秀子さんから「みんなでごはん、あなた達の拠点は“ジュピのえんがわ”だからね。ここを使っていいから」

と声をかけられ、背中を押してもらい始まりました。途中コロナに見舞われましたが、何とか皆で知恵を絞り一歩一歩ここまで進んでこられました。そして、今年2023年1月で6年目を迎えることができました。その原点は、地元の地域で活動を続けてこられた先輩のあたたかく、力強い言葉の後押しがあったからでした。

もともとお互いの娘さんたちが同級生でママ友だった三上さんと細川さんが学童のスタッフとして働いていた時に、仕事を終えて学童へ子どもをお迎えに来るお母さん達を見ていて、「お母さんたちがほっとできる場所を作りたい」という話が出ました。「サンドウィッチとかおにぎりとかを作って、コーヒーも50円くらいで、ゆったりとできるスペースが欲しい」と思っていたことが活動のきっかけです。最初のスタッフは二人だけでしたが、学童の保護者であった湯山さんも加わり、話をしているうちに「“紙芝居”と“みんなで食べるごはん”を合体したらよいのでは」となりました。その後、松澤さん、田島さんが加わり現在の5人となりました。

写真:ジュピのえんがわ

 

 

Part2. みんなで食べたらおいしいよね!

写真:天津飯風丼お弁当

 

活動の名前は、メンバーで話し合い直ぐに「みんなでごはん」に決まったそうです。それこそ、おじいちゃんやおばあちゃんも来るし、子どもも家族連れも来るからだそうです。

活動は月に2回、全予約制となっています。当日は11時30分から各会場にて食事の提供やお弁当のお持ち帰りになります。申し込み先は、各ケアプラザやセンターシーサイド商店街のお店に置かせていただいているチラシ記載までお願いいたします。

写真:手描きのみんなでごはん“チラシ

 

当日はスタッフが集合し、事前ミーティングから始まります。そして作業に入ると、誰も何も言わなくてもそれぞれの仕事をする。見事といえる、5人の連携プレーでお弁当作りが進められていきます。そして、その場所には常にメンバー皆の笑い声がありました。三上代表は、「スタッフの人数は丁度よい。個人情報も取り扱うので皆で常に情報共有をきちんとしたい」と考えを述べていました。

写真:作業前みんなでミーティング

 

写真:笑顔が絶えない、みんなでごはんスタッフ

 

毎月のメニューは、みんなで話し合いグループラインにて情報共有しながらクックパッドやクラシルなどを参考にして決めています。味見も含めて、前月に試作をします。予算を考え、簡単で美味しく、子どもも食べやすいメニューを心掛けています。例えば、「厚揚げマーボー丼」というのがあります。これは普通のマーボー豆腐よりも厚揚げで作っているので、お豆腐が崩れにくく、玉ねぎで作っているので長ネギよりも臭みがなく甘くなるので、子どもも食べやすくなっています。和風な感じですが、見た目はマーボー豆腐なので子ども達からリクエストが来るほどの人気メニューとなりました。今回はコロナ禍でお弁当形式にしているので、丼物にして提供しています。お弁当の提供価格は4月から変更し、子ども100円、大人200円となっています。

 

 

Part3. みんなでおすそわけ

 

以前、「みんなでおすそわけ」という活動もしていました。コロナで一番大変な時期、ごはんを作って提供するというのは一時お休みしました。その代わりに、フードバンクからの寄付や区社協さんを通じて店舗から沢山の品を提供していただきました。本当に大変だったが、毎回楽しみにしてくれていた参加者の方との関係を切らしてはいけないと思ったので、メンバー5人で約60件のご家庭へいただいた品を配布しました。ほとんどの人がありがとうございますと受けてくれました。

現在も寄付や企業からの品は、お土産としてカフェ波輝とジュピのえんがわにて参加する方におすそわけをしています。

 

写真:寄付された品のおすそわけ

 

 

Part4. 地域の中で顔見知りを増やしたい

 

コロナでも止めずに活動を続けた訳は何でしょうか?代表の三上さんへ伺いました。「理屈をこねれば沢山ある。でも、一度もやめようとは思わなかった。例えば大きな災害時に、あのおばちゃん確か“みんなでごはん”で会ったことあるから声かけられるな。と最終的に思ってもらいたい。地域で顔見知りになるのは大事。みんなで楽しくワイワイとごはんを食べながら顔見知りになる。災害時にも、顔見知りがいた方が安心。」と話されました。そして、「年頃の子どもたちの周りには近所の怖いおじちゃん、おばちゃんたちがいた良き時代があり、私たちはその中で育ってきました。残念ながら、今はなくなってしまった。その部分を私たちでできるならば補いたい。地域で子育てをするという感覚。」と語られました。続けて、「この時代やめるのは簡単なこと、もちろん続けるのは大変。でも私たちの活動の原動力は、部活動みたいな感覚。終わったあと、ほっとするのと、適度な疲れはあるけれど、喜びとか達成感や充実感がある。」そう活動への思いを語られました。

 

写真:代表の三上千代子さん

 

地域の中で「一人でごはん食べるのが寂しい」という高齢者の声を聞くことがあります。子どもはもちろんですが、大人もみんなと一緒にごはんを食べることを求めている人が多いのです。みんなでごはんを食べるということは、地域を繋ぐツールの一つだと思いました。同時にその場所は、参加する人にとっても、提供する人にとっても安心できる場所なのです。私の訪れた「みんなでごはん」は、スタッフの笑顔で満ち溢れた、とてもあたたかい空間でした。出会うべくして出会ったメンバー5人が、やるべくしてやる活動が地域食堂「みんなでごはん」だったといえるのでしょう。今後も「みんなでごはん」の活動が地域を結ぶ懸け橋となることを、心より応援をしています。

 

写真:100回目記念のお手紙

 

2023 ライター 篠原淳子

 

 

Information : 地域食堂「みんなでごはん」

代表 三上 千代子

℡ 090-6923-8783

mail cony.11.422@gmail.com

 

【補記】

「みんなでごはん」よりお知らせです。

2023年8月より、予約なしの月1回(第3土曜日・ジュピのえんがわ)の活動になります。コロナ禍を乗り越えて、コロナ前の会食の活動形態に戻し、新たに挑戦していきます!

 

 

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