【記事】海と陸が交わる稀有な環境を守る! 富岡並木ふなだまりgionbune公園愛護会
2023/03/16(木) 情報コンシェルジュ
海と陸が交わる稀有な環境を守る!富岡並木ふなだまりgionbune公園愛護会
写真:ふなだまりの朝焼け
並木のシンボル的な存在でもある「富岡並木ふなだまり公園」。並木が埋立てで開発される前、かつて入江だった名残があり、今は海水と淡水が混じり合う「汽水域」としても知られています。そんな富岡並木ふなだまり公園の景観を満喫できる場所に、2020年初春、「ウッドデッキ」が設置されました。管理者は「*富岡並木ふなだまりgionbune公園愛護会」(以下 公園愛護会と表記)。この場所にウッドデッキを設置した公園愛護会のことが知りたくなり公園愛護会会長の高島哲さんに取材を申し込みました。
写真:富岡並木ふなだまりgionbune公園愛護会 会長の高島哲さん
「海」と「陸」が出会った!
「発端は、2017年に前会長の赤澤寧さんと出会ったことにあります」と懐かしそうな表情になる高島さん。当時、赤澤さんはSUP(スタンドアップパドルボード、ボードの上に立ってパドルを漕ぐ新しいウォーターアクティビティ)を漕ぎふなだまりの水面の清掃を行っていました。高島さんは自転車でのんびり散歩しながら**ゴミポタ(のんびりゴミ拾いするのこと。高島さんの造語)を行っていました。そんなふたりが出会い、海と陸からふなだまりを清掃しようと意気投合して、出会った年の2017年に公園愛護会を発足することになったそうです。
ふなだまり周辺がきれいになった!
「雨の日とお正月を除く毎日。早朝にふなだまり周辺の清掃活動をしています」の言葉に、数年前のふなだまりは腐った枯葉、死んだ魚やヘドロが漂着して悪臭が漂っていたことを思い出しました。今ではきれいな状態が当たり前になっているふなだまり周辺ですが、改めて高島さんたちの活動のお蔭だったことに気付かされました。
写真:毎朝行っているゴミポタの様子
みんなが集える拠点が欲しい!
40歳代の赤澤さんと70歳代の髙島さんは共にふなだまりの魅力をより多くの人に伝えたいと考え、活動の拠点となるハウスを妄想しました。実現化するべく、審査に通過すると助成金500万円が受け取れる「ヨコハマ市民まち普請事業」にチャレンジして、思いの丈を伝えたところ合格。ところがハウスの案については諸事情により叶わず「ウッドデッキ」という形で落ち着くことになったとのこと。
設置までの経緯や思いを包み込み「ウッドデッキ」は、今では誰もが自由にふなだまりの景観を楽しめ、ホッと一息つけるスポットになっています。
写真:ふなだまりウッドデッキ
「ウッドデッキ」を活用しています!
現在、公園愛護会では「ウッドデッキ」で水質や生態系の定期的な調査や、健康づくりの太極拳、七夕まつりなどの活動を行っています。
写真:公園愛護会活動の様子
公園愛護会の会員数が増えた!
2020年2月には19名ほどだった公園愛護会の会員数が2022年11月現在、40名となった。40歳代の人もいるが60~70歳代が中心。「ウッドデッキ」の活動を通しての地道な広報の成果もあり「早朝の清掃活動には参加できないけれど」と活動に賛同して、年会費の一口1,000円を納めて入会してくださる方が多数いるとのこと。
ふなだまりの良い環境を次世代に!
2019年に40歳代の若さで急逝された前会長の赤澤さんの若さと行動力に引っ張られて活動してきた」という高島さんは「ふなだまりは素晴らしい環境です。次世代の若者たちに良いカタチでこの環境を残していくための活動をしていきたい」と話を結ばれた。
写真:👆 Supでふなだまりの水面を清掃している
在りし日の赤澤さん
ふなだまりの未来は明るい!
2022年11月のふなだまりの周辺はアクティブシニアの方々で賑わっています。精巧な模型ヨットを操るグループとミサゴハンター(ミサゴがふなだまりに生息するボラを捕獲する瞬間をカメラで狙っている人)の方々がそれぞれの場所で会話をしながら楽しそうに過ごしています。
写真:ミサゴがこの地区に飛来するとミサゴが魚を捕獲する一瞬のために望遠カメラを構えるカメラマンたちが集まってきます。地元ではそんな人たちをミサゴハンターと呼んでいます。
私も2021年から公園愛護会の若い世代の提案で始まった、月1回の「親子でゴミ拾い」の活動を手伝うことになり、ますますふなだまり周辺に愛着を感じるようになりました。誰もが集い、声をかけあえる場所の象徴として「ウッドデッキ」が維持され、公園愛護会の活動が次世代に引き継がれ、発展していくことを願っています。
2023 ライター 山本淳子
写真:最終日曜日10時からは たまたま通りかかった方でも独りでもOKの「親子でゴミ拾い」です。トングの貸し出しをしています。
*富岡並木ふなだまりgionbune公園愛護会 : 公園愛護会名は公園名+愛護会が通常。
「富岡並木ふなだまり公園」+「愛護会」が既に南側公園に存在したため差別化をする上で、富岡八幡様の「祇園舟神事」の舞台がふなだまりであり、ウッドデッキがそのお旅所であることを赤澤氏がリスペクトしてgionbuneを付けた。
「祇園舟神事」は横浜市無形文化財第一号
**ゴミポタ : オリジナル造語。ゴミ拾い+ポタリング(自転車でのんびり散歩すること)=ゴミポタ。のんびりとゴミ拾いすることを「ゴミポタ」と称している。